コラム

2018/06/07

伝統継承と労働環境(茨城・TT)

伝統継承と労働環境


▼少し前の話になるが、京都府の舞鶴市で行われた大相撲巡業で、同市の多々見良三市長があいさつ中に倒れ、救命措置に当たった複数の女性に土俵から下りるようアナウンスしたことが波紋を呼んだ。兵庫県宝塚市では、中川智子市長に土俵下に設置されたお立ち台からのあいさつをお願いしたことなど、女性を土俵に上げない慣習が女性差別という批判につながった


▼慣習あるいは宗教的な理由から女性禁制という「伝統」は身近に存在する。土俵以外でも福岡県に位置する沖ノ島は「神の島」と呼ばれている。島全体が宗像大社沖津宮の御神体で今でも女人禁制の伝統が守られている。また歌舞伎の元祖は女性であるが、各地で歌舞伎劇と売春を兼ねる集団が出現するなど風紀上の問題から女性禁制となっている


▼建設業界でも、長い間トンネル工事の開通式の現場に女性が入れなかったことや、最近までトンネルに女性が入ると山の神が嫉妬し事故が起きるなどと言われていた。改正男女機会均等法では女性も抗内で働けるようになり、男女問わず魅力ある業界になるため少しの前進を見せた


▼少子高齢化が進展する中、建設業界にとって担い手の確保・育成は最重要課題に。近年は女性が活躍できる環境整備にも力を入れ、建設業の女性活躍も珍しいことではなくなりつつある。単純ではないが性差別につながる伝統はきちんと議論していかなければならない時代になった


▼伝統は時代に即して継承していくことに価値があり、女性禁制に限らず「昔からそうだから」といった曖昧な理由で継続するのではなく、十分な議論が必要ではないか。(茨城・TT)


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