コラム

2018/07/10

戦う場所は変わっても(茨城・KN)

戦う場所は変わっても


▼昨季まで広島東洋カープに所属していた梵英心(そよぎ えいしん)選手が社会人野球チーム「エイジェック」に入団することが決まった。2006年から生まれ故郷のカープ一筋でプレー。近年は出場機会に恵まれず、このまま引退して指導者の道に転身するかと思っていたが、本人にはまだまだできるという自信があるのだろう


▼日本野球機構に所属する球団が有する支配下登録枠は全12球団合計で840人。毎年多くの有望な新人が入団してくるのと同じだけ、所属した選手がその枠から外れていく。期待のルーキーや一軍で活躍する選手に注目が集まる一方で、プロの世界から去っていく選手に思いをはせる人は少ない。しかし当然だが彼らの人生は続いていく。環境は変わっても、野球から離れても、生きるために戦い続ける


▼厚生労働省が取りまとめた14年3月卒の新規学卒者離職状況では、高卒就職者の40・8%、大卒就職者の32・2%が就職後3年以内に離職している。縁あって入社した職場。長く勤めることが雇用者にとっても被雇用者にとっても幸福であると思う


▼それでも退職という決断をした彼らの選択は自由だ。人生に関わる大きな決断。不安もあるだろうが、生きていく道は1つではない。考え抜いた結果、視野を広げて別のルートを歩くのも良いのではないか。もちろん環境を変えずその場で戦い続ける人の選択もきっと正しい


▼自分の決断に内心迷っても、時間は元には戻せない。「これが正しい道なんだ」と自らを奮い立たせ、今の場所で戦い続けながら道を切り開いていかなければならない。「頑張ろう」とそっとエールを送りたい。(茨城・KN)


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