コラム

2018/07/21

そうしたいのはやまやま(山梨・OS)

そうしたいのはやまやま


▼「かぶこう?」。そう聞き返すと市長は「もうちょっと勉強してから来なきゃダメだよ」と笑った。記者になって初めてのインタビュー。恥ずかしながら下部工という言葉すら知らなかった。「すみません」と謝りインタビューを続けるも専門的な話になると意味が分からない。もう聞き返すこともできず分かったふりをして、ただうなずくしかなかった


▼市長とは山梨県大月市の石井由己雄市長。建設業経験者で建設業協会の会長を務めた経歴も持つ。当然業界の事情には詳しくそれ以降もさまざまな話を聞かせてくれた。その中で建設業の利益についてこう語っていた


▼「業者がもうけを出そうと思ったらまず工期を短縮することを考える。短期間で仕上げればその分経費は浮き、年間にこなせる現場の数も増えるからだ」


▼あれから7年ほど経った。業界では将来の担い手不足が懸念され国も対策に乗り出した。休みが少なければ若者は入らない、と業界に週休2日を求めている。だが休みを増やせば工期は伸び利益は減る。それを補うようにICT建機がたくさんの仕事をこなしてくれるとはいうものの、現時点では精度にばらつきが出るなど課題は多いと聞く。地方に普及するまでにはまだ時間がかかるだろう


▼一方で人材確保は待ったなし。他の業界と若者を取り合う中で雇用条件の改善は必須だ。それには国の支援がまだ必要。せめて週に2日休んでも業者が立っていられる状況になるまでは。きっと「なぜ建設業ばかり」という世間の厳しい目はある。ただこれまでもこれからも当たり前の安全な暮らしを支えるのは地元の建設業だ。(山梨・OS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら