コラム

2018/07/27

ヒヤリとした経験生かし(群馬・YT)

ヒヤリとした経験生かし


▼暑い時期の楽しみの一つに怪談がある。なぜ怪談といえば夏になったのかについては、お盆があるからなど諸説ある。しかし、夏の蒸し暑い空気には独特の雰囲気があり、ヒヤリと背筋を冷やすにはよさそうだ


▼娯楽として怪談が根付き始めたのは江戸時代のころだという。怪談に不可欠な妖怪の姿に大きな影響を与えたのは、江戸時代中期の浮世絵師である鳥山石燕(とりやませきえん)。その時代にヒットを飛ばした画図百鬼夜行(がずひゃっきやこう)には、ろくろ首や河童(かっぱ)など現代のイメージとほぼ同じものがどこかユーモラスに描かれている。その中には天狗(てんぐ)も取り上げられているが、現在浸透している赤ら顔に長い鼻ではない。烏(からす)天狗をイメージしたのか全体的に鳥のような外見で描かれており、今と昔でどう違うのか、なぜ違うのかを考えるのも面白い


▼時代は変わり現代。口裂け女という都市伝説が1970年代の後半に日本中で流行し、一部小中学校では集団下校まで行われる社会現象となった。妖怪が都市伝説に形を変えて浸透したとも考えられ、いつの時代でも怪談は形を変えて存在していると言える


▼各地の安全大会でよく言われる事故にはならなかったヒヤリ・ハット。1件の重大事故の裏に29件の軽微な事故、300件のヒヤリ・ハットがあるというハインリッヒの法則と合わせてよく紹介される。こちらは、怪談のようにヒヤリとした経験を話すだけでなく、どんな事例であったかを共有・分析することが重要だ


▼幽霊や妖怪は意識だけではどうにもならないが、労働災害は意識による対策で防げる事例が多数ある。暑さが厳しい季節だからこそヒヤリ情報共有をしてほしい。(群馬・YT)


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