コラム

2018/09/08

下水道の未来へ(山梨・HI)

下水道の未来へ


▼毎年管渠布設などインフラ整備が進む中、整備に係る新設・更新費用は自治体の予算を圧迫している。財源には受益者負担金や国庫補助金などを充て、多くの自治体が予算と整備のバランスに苦しむ中、昨年財務省が明らかにした今後の支援案に不安の声が上がる


▼財務省の諮問機関である財政制度等審議会が国庫補助の引き下げの検討を始めた。各自治体には下水道利用料の引き上げを求めたい考えで、改築更新には原則値上げ分を充てて対応すべき旨の提案が上がった。国の支援がなくなったら衛生面はどうなるのか。耐震化が不十分なまま大型地震に被災したときは。一国民として心配になる


▼管渠埋設に取り組む各自治体も対応には嘆きの声も。国庫補助に見合った整備計画の見直しや費用がかかる下水道と合併処理浄化槽の使い分けなど試行錯誤している。観光に頼っている地域は特に苦しい。逼迫(ひっぱく)する予算の中で整備を進めていかなければならない。老朽が進む中で、国の支援は自治体だけでなく国民にとっても希望の光なのだ


▼これから料金アップが一斉に進むかもしれないが、これも一筋縄ではいかないことだろう。消費税しかり、これまで払っていた金額が上がるのは受け入れ難いし、反対する人が出てきても当然だ。突然料金が跳ね上がることはないにしても、自治体も生活者も苦しい状況になっていくのだろう


▼国側の考えも分かる。維持更新にしても国費は莫大になり、10年20年先の推定費用を考えると対応措置を図るのは当然だ。下水道の未来のために可能な範囲で自治体の負担軽減につながる措置を取ってもらいたい。(山梨・HI)


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