コラム

2018/09/14

お試しから広がる可能性(山梨・SA)

お試しから広がる可能性


▼ここ数年「お試し住宅」を推進している自治体が全国的に目立ち始めている。多数の自治体予算にお試し住宅整備に向けた事業費が盛り込まれてきており、その注目度は高まっているようだ


▼お試し住宅は移住希望者を対象として、その土地に住み、農作物や名産品、歴史や自然、地元の人々と触れ合いながら一定期実際の生活を体験してもらうもの。お試し住宅に使える空き家を募る自治体もある。希望者がここに住みたいという気持ちが高まれば、空き家バンクや古民家のリフォームなど住居を見つける策もあり、長く定住してもらえるきっかけとして期待されている


▼市町村が設けるお試し住宅のホームページを見ると移住希望者のほか、UIJターンや就職活動に利用している人のコメントも多くみられる。利用者からは「農業をしながら生活したい」「長年都市部で生活していたが、自然を楽しみながらの生活に憧れて」「自治体が進める地域おこしに関心を持った」などの声がある。ある自治体では、7月から3カ月間の予約がすでに埋まっているなど好評の様子がうかがえる


▼移り住む人々が興す事業により仕事や産業が作られて、地域が発展する可能性も考えられる。普段当たり前のようにある風景や自然なども外部から移り住む人の目線によっては新たな観光資源に生まれ変わるかもしれない


▼各自治体は移住者の生活ニーズ、移住に必要となる仕事のサポートや子育て支援に力を入れるなど、お試しから本格定住できるような受け入れ体制づくりが必要だ。空き家対策や地方の人口減少対策につながる動きに注視したい。(山梨・SA)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら