コラム

2018/10/19

旅情を感じるポスター(山梨・SA)

旅情を感じるポスター


▼「青春18きっぷ」をご存じだろうか。JR線の普通電車を期間内で1日乗り放題という切符である。切符の発売を告知するために駅構内に張られるポスターが作られている。その歴代のポスターを一冊にまとめた写真集を本屋で見つけた


▼本の題名は「青春18きっぷポスター紀行」。1990年から2015年の間に制作されたポスターがまとめられている。全国各地の駅を基本に、線路から望む緑の山々や青々とした大空をバックに建つ駅、そこにたたずむ旅人が重なると、「そうだ○○行こう」のように電車を使ってどこかへ出掛けたくなる気分になる


▼この中で気になったのは、東海道本線の米原(まいばら)駅ホームの立ち食いそば屋で5人の男女が微笑(ほほえ)みながら麺をすすっている姿をとらえた一枚。写真に並んで「列車を降りるとかならず誰かのおなかが鳴った」という見出しが面白い。旅先で仲間と電車を使って過ごした貴重な時間を物語るとても素敵な一枚だ。歴代のポスターを見ると写真家の荒木経惟(のぶよし)さんが撮影した作品も。写真からは旅先での思いがけない出会いや発見が映画のひとコマのように映し出されている


▼1ページごとに本を見ていくと学生時代に友人と青春18きっぷを購入して東京都内へ当てもない旅に出た日のことを思い出した。慣れない電車の乗り継ぎに苦戦したことが一番の思い出となったが、なかなか写真集のようにはいかない


▼駅や線路を見ると人生にも似ている。特急で急ぐこともあるけれど、普通電車で一駅一駅着実に目標を目指すのも人生における豊かさか。時にはあせらずゆっくりが肝要と再確認した。(山梨・SA)


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