コラム

2018/10/20

老朽化対策に必要な投資を(茨城・HS)

老朽化対策に必要な投資を


▼大手コーヒーチェーンのスターバックスが、イタリアのミラノに1号店をオープンした。イタリアへの進出は同社の名誉会長、ハワード・シュルツ氏の夢だったそうだ。世界各国で愛されている味は、エスプレッソの本場で受け入れられるだろうか


▼そのイタリアで高速道路の高架橋が崩落し、40人以上が犠牲となるという痛ましい事故が発生した。延長1・2km、高さ50mの吊り橋は、建設から50年以上が経過。北イタリアの港町ジェノバにあり、海風にさらされ続けたため、補修工事が常態化していたという


▼イタリアの北部は金融や自動車などの工業が盛んで、農業中心の南部に比べて裕福といわれる。「ミラノが稼ぎ、ローマが使う」という揶揄(やゆ)の言葉もあるほどだ。そんな北部で今回の事故は起こった


▼インフラの老朽化対策は世界共通の課題だ。日本国内でも、今後架設後50年を超える橋梁が大幅に増えていく。各自治体は長寿命化計画を策定して対策を講じているが、財源が心もとなく遅々として進まないのが実情ではないか。国は重い腰を上げて必要な投資に踏み切るべきである


▼それと同時に、業界はメンテナンスのプロを1人でも多く育てていかなければならない。国民がインフラを当たり前のように「ある」と感じているのは、先人たちがそれだけ信頼される確かなインフラをつくり上げてきたおかげなのだ。良いものをしっかりと維持管理し、少しでも長く使い続けることこそ、先人たちの恩に報いることになる。そして使用期限を迎えたインフラには「お疲れさまでした」と労(ねぎら)い、次の世代にその役割を引き継いでいこう。(茨城・HS)


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