コラム

2018/11/30

ありがとうエルドレッド(茨城・KN)

ありがとうエルドレッド


▼広島東洋カープに所属するプロ野球選手、ブラッド・エルドレッド内野手の退団が決まった。外国籍選手としては球団最長7シーズン在籍した彼がチームを去るのは、ファンとしては寂しい限り


▼2012年のシーズン途中にカープに入団すると、豪快なスイングでホームランを量産。負傷による離脱が多いことや不調に陥ると長引くなど欠点も目立ったが、チームメイトや多くのファンに愛された。広島のローカルテレビではバラエティ番組に出演し、CMにも起用された。「広島を愛し、広島に愛された男」と題した書籍も発刊されている


▼エルドレッド選手がここまで愛された背景にはチームになじもうとした姿勢が大きい。監督やコーチの助言に謙虚には耳を傾け、チーム事情で2軍に落ちても腐ることなく汗を流す。日本文化への適応にも熱心だ。日本語の習得に力を注ぎ、外国人が苦手な麺をすする食べ方も「日本では麺はすするものだから」と果敢にチャレンジする。そんな彼に球団側もサポートを惜しまなかった。当時の野村謙二郎監督は頻繁に食事を共にし、夫人の誕生日にはケーキを持って自宅を訪れたという


▼人口減少による働き手の不足が深刻な日本では、これから外国人労働者が増えていくだろう。プロ野球選手の事例がそのまま当てはまるとは思わない。しかし異国から来て地域の文化になじもうと努力する人を温かく受け入れる環境は、良い仕事をするためには不可欠だと思う


▼エルドレッド選手は現役続行を希望し、他球団への移籍を模索しているとのこと。もう一花を咲かせて、悔いのない選手生活を全うしてほしい。(茨城・KN)


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