コラム

2018/11/01

感謝と後生への思いやり(茨城・KS)

感謝と後生への思いやり


▼「あなたは運がいいですか」。経営の神様、松下幸之助氏は採用面接の際に質問した。「悪い」と答えた人は、どんなに成績や学歴が良くても不採用だった。理由は「運がいい」と答える者は人に恵まれているので、周囲への感謝を欠かさないからだという


▼がんの治療につながるとされるタンパク質「PD-1」を発見し、このほどノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授。受賞決定後の会見では「幸運な人生だった。何より健康であった」「もう一度同じ人生を歩みたい」と語っていた


▼一方で、若手研究者が置かれている環境に危機感を抱く。「ライフサイエンス(生命科学)は未来への投資。基礎研究に関わる若い人を長期的に支援するため、もっとたくさんの研究費を投資してほしい」と訴え、今回の賞金の全額約5750万円を、若い研究者をサポートするための基金として同大学に寄付するとした。さらにPD-1を基に開発されたがん治療薬の特許収入も寄付することを表明


▼また本庶氏は、あるインタビューで研究者を目指す若者に向け「覚悟はいるが、世間が想像しているよりはるかに楽しい」とエールを送った。建設業界も全く同じである。建設業は社会基盤整備の担い手。いわば基礎研究のように地味だが重要だ。人間の社会生活全てに関わることを考えたらそれ以上に大事かもしれない。そして建設業に携わる若手の貴重さといったらこの上ない


▼いつの時代も、どの業界でも〝感謝の心〟と〝後生への思いやり〟は不変の真理。それらを先達が認識し、いかに身をもって示すかが肝要だ。(茨城・KS)


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