コラム

2018/11/21

伝える・受け手の乖離問題(茨城・TT)

伝える・受け手の乖離問題


▼自然災害が猛威を振るっている。6月に大阪府北部でマグニチュード6・1の地震が発生し、最大震度6弱の揺れが大都市を襲った。7月の西日本を中心に北海道や中部地方など広い範囲での記録的な集中豪雨。9月には北海道胆振東部地震など、短期間のうちに自然災害がもたらした甚大な被害に人間がいかに非力かをあらためて思い知らされた


▼災害時に重要な役割を果たすのが情報の伝達。最近耳にするのが災害時に行政から出される発令で、住民に対して避難を求める「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示(緊急)」の用語の違いや緊急性の高い順序などが分からないという声。あるラジオ番組の調査によると、約半数の人が情報の意味を理解できていないという結果が出た


▼発信する側も人の生命と財産に関わるだけに、ただ「発令しました」では済まされない。もちろん受け手側にも問題があり、日頃からの危機意識や備えなどが重要になる。情報というのが一方通行では、なんら役には立たないことを痛感する


▼伝えるというのは何も災害時だけのこととは限らない。相手の立場や感情を考えず延々と自説を語る。「自分はこんなに相手のこと(あるいはみんなのこと)を思っているのにどうしてわかってくれないんだ」というねじれた自意識過剰の叫びは雑音と同じだろう


▼人命を左右するほどではないとしても、曲がりなりにも文章で情報を扱う新聞記者として、伝えるということに関して言えば共通する部分がある。絶えず読者を意識して一方通行にならないよう分かりやすい役に立つ記事を書かなければ。(茨城・TT)


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