コラム

2018/11/27

米作りの意味とは(山梨・HK)

米作りの意味とは


▼秋は実りであり収穫の時。黄金の絨毯と呼ぶにふさわしい田んぼの稲穂が波うち輝く様子は実に美しい。籾(もみ)の部分の8割方が黄色に色づくと刈りどきのサインとのことだが、ことしは長雨に泣かされた稲作農家の方も多いのではないか。ぬかるんだ田んぼに稲刈り機が入ることができず、田植えさながら泥だらけの稲刈りになったところもあるやに聞く


▼縁あってことしのわが家は無農薬にこだわった稲作に勤(いそ)しんだ。50坪ほどの田んぼを借り、5月の田植えに始まり夏を迎える前に3回の草刈りも行った。そして稲刈り…


▼これまでの米作り体験は60坪ほどの庭先の田んぼでの稲作を手伝う程度のもので、わずかばかりの人数での作業だった。しかし今回は1枚の田んぼを数グループで区分けして、借りた区画の収穫を頂けるシステム。借主に限らず田んぼを所有する団体からの助っ人も集まり、ちょっとしたお祭り騒ぎ


▼指示に従い機械が入りやすいように区画の四隅だけ手刈りで済ませ、腰を伸ばし、端から始まった稲刈り機による作業に目をやる。刈り取ったスペースに稲穂を干すハセがけ用のパイプを組み立て、端から順番に稲を掛けていく作業へと流れていく中で、自然と他人の区画へも足を運び手を貸す皆がそこにいた


▼農耕民族である日本人はお米作りという大変な作業を皆で協力してこなしてきた。その昔には〝結〟(ゆい)という制度もあり、特に小さな集落では損得ではなく、ましてお金ではなく相互扶助の精神で助け合って暮らしてきたという。米作りという作業が人と人を結び、欲得なく日々暮らしていく。田舎の風景は良いものだ。(山梨・HK)


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