コラム

2018/12/06

行政だけでは難しい(群馬・TH)

行政だけでは難しい


▼「それが一番の課題なんですよ」。前橋市で行われた地域公共交通再生協議会の終盤、参加者が頭を抱えた。人口減少や高齢化に対応した人と環境に優しい公共交通ネットワークの再構築についてを話し合う場だった。市をはじめ国や県、公共交通事業者、住民代表、学識経験者などの関係者が集まり、意見を出し合った


▼群馬県の人口100人当たりの自動車保有数は69・58台。自動車と運転免許の保有率は全国1位。当然のように発生する朝夕の渋滞。加えて全国的に高齢者ドライバーによる交通事故が多発している。前橋市でもことし1月に痛ましい事故を経験したばかり


▼このような状況を打破するために多様なアイデアが出た。ハード面では、パークアンドバスライド駐車場およびサイクルアンドバスライド駐輪場の整備、待合施設の充実、交差点の改良などがあがる。ソフト面は分かりやすい情報案内や鉄道とバスの連携、路線の明確化などに取り組む。少しでも公共交通をより便利にしようと必死


▼こういった努力の前に立ちはだかるのがサービスを受ける住民側とのギャップ。いくらハードとソフトを改善しても、市民に公共交通を使う意思、使おうとする姿勢がなければ、十分な効果は得られない。いかにして利用者の関心を高めるかが、一番の課題


▼行政の努力だけではどうにもならない。市民と行政が共通の方向性を持ち、一緒になって取り組んでいくことが重要で、それが難しいことだと思い知った。税金が投入されているとはいえ、行政サービスに全てを求めてはならない。一人一人の行動が解決の一端を担うこともあるはず。(群馬・TH)


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