コラム

2018/12/27

生かすという目線(茨城・TI)

生かすという目線


▼先日ある一般紙で古民家の改修に関する記事が紹介されていた。多額の修理費用を捻出するため、インターネットで資金を調達するクラウドファンディングを活用しているという。こうした古民家や近代建築物の解体などは表面化しにくいだけで、数多くあるのではないかと思う


▼実際、件(くだん)の古民家も声を上げる人がいたからこそ、自分も知るところとなった。空き家問題が取り沙汰される一方で、残すべき建築物がひっそりと無くなる、または改築されている。そのこと自体が悪いことではない。空き家などは治安や安全の問題がある以上放置できない課題だ。とは言え地域の景観を担ってきた古民家や近代建築が老朽化や耐震不足で解体せざるを得ないのは物悲しくある


▼故鳩山邦夫衆議院議員が東京中央郵便局の再開発で、旧庁舎の保存のため現場を視察していた姿を覚えている人も多いのではないか。結果として一部ではあるが保存となったわけだが、文化価値の高い歴史的建築物が壊されるのは実にもったいないと感じるのは貧乏性故か


▼ただ賛美するだけでは意味がない。耐震補強と維持コスト、それらを新築費用とてんびんに掛けたとき、建て直した方が安いとなれば、止めるにはそれなりの理由が必要だ。あまり推奨できる話ではないが、古い物を壊し新しい建物を建てなければ、技術や経験も育たない


▼冒頭の古民家については、気になって数日後にホームページを確認したところ目標金額を達成していた。しかもゆくゆくは古民家カフェとして活用していきたいとのこと。残すだけではなく、生かすという目線も大切になる。(茨城・TI)


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