コラム

2019/03/14

日本人は桜がお好き(群馬・TH)

日本人は桜がお好き


▼お花見が楽しみなシーズンが到来した。所狭しと咲き誇る桜を見て「日本に生まれて良かった」としみじみ思う。しかし日本人はありとあらゆる場所に桜を植え過ぎではないだろうか


▼保育園や幼稚園、小・中・高、大学など学びに関する場所にはかなり高い確率で植えられている。これは戦時中、戦って華々しく散ることが美徳とされており、桜の花の持つ短命で華やかな散りざま、精神を子どもたちに植え付けようと普及が進んだとの説がある


▼時代は進み、高度経済成長の歪(ひず)みにより全国的に桜をはじめとする花や緑が荒廃。この事態を憂慮し日本花の会が1962年に創設、これまでに240万本の苗木を全国に届ける活動を展開した。また日本さくらの会も67年から活動を開始し150万本以上を無料配布。活動が実を結び、今の日本は桜の名所だらけになった


▼現在は600種以上の桜があるといわれている。そのルーツは日本に自生していたオオシマザクラ、ヤマザクラなど10種。桜の代表格とも言えるソメイヨシノは江戸時代中期から末期に誕生。最初の1本を挿し木などで増やしたクローンである。日本最長寿の桜は山梨県北杜市にあるエドヒガンザクラで推定樹齢は2000年ともいわれている


▼江戸時代に川沿いに土手を整備した際には、桜を植え見物客の足で地盤を固めようとした、という話がある。川や土手といった水辺に連なって植えられているのはこの名残ともいわれる。経済的な負担を軽くしつつ、大衆の心も楽しませる画期的な発想だと関心する。生産性向上の実現にはこのように頓知(とんち)が利いたアイデアが必要なのかも。(群馬・TH)


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