コラム

2019/04/23

空からのみ見える地上絵(新潟・CY)

空からのみ見える地上絵


▼年明け早々、新潟市を流れる阿賀野川河口の砂地に巨大な地上絵が出現した。川を遡上する鮭の夫婦を描いた50mを超す大作。描いたのは新潟市のアーティスト集団「サスノグリフス」だ


▼一生で一番大きな絵を描く――。チームは30代の男女4人。キャンバスは日本海と阿賀野川が作り出した砂礫(されき)の集合体「砂州」。巨大さゆえ、地上ではその全容を見ることができない。対岸の新潟空港に降りる飛行機から、またはドローンから見るために描かれている


▼このプロジェクトは文化庁の事業の一環で、彼らは次世代のプロジェクトリーダーを育てるアーツプロジェクトスクールに所属している。東京、京都、福岡、熱海、新潟各校でさまざまなプロジェクトを展開。3月24日、全校が都内に集い、サミットと称して発表会を開催した。それぞれの地域因子や社会問題をスタートに展開されるプロジェクトは、現代を映す鏡のよう


▼サスノグリフスは砂州(さす)に流れ着く大量のプラスチックごみを拾う。キャンバスを整え、遊びと社会貢献をセットに活動するスタイル。微力でも、地上絵に興味を持った人が、プラスチックごみに目を向けるきっかけとなり、肩肘張らず楽しんで考えることが目標だという


▼「型にはまらない感じが良かった」。取材に来た一般紙記者は口をそろえた。彼らのテーマは、型を打ち破って突き抜けていくことでもある。これまでにたくさん絵を描いてきた。紙、ギャラリーの壁、公共施設の吹き抜け等、枠に収まる形で。ひいては仕事、性別、社会、あらゆる規制の枠もある。これらを軽やかに飛び越え、大空から俯瞰しているようでもある。(新潟・CY)


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