コラム

2019/04/26

聞屋の目線で切り開く(埼玉・YM)

聞屋の目線で切り開く


▼普段車で通る道を歩いてみると新しい発見があったりする。見慣れた風景でもわずかな差異を発見できる人もいる。誰も気が付かない日常との違いに目を光らせ、伝える行為はまさしく報道の原点とも言うべき基礎に違いない


▼ネタ探しの根本とも言える「気付き」は記者にとって大事な素養だと感じる。大多数の大衆と同じ感性・視点・思考では価値あるニュースにならないからだ。価値あるとは、自身が気が付いた日常との変化にほかならない。その気付きが他人の感性などに響けば価値が生まれる。そして気付くためには何より好奇心がものをいってくるだろう


▼ソビエト連邦の映画作家ジガ・ヴェルトフは「私は、私だけに見える世界をみんなに見せるための機械だ」と書いたように、ロシア語でキノ・グラース(映画眼)、英語でカメラ・アイを提唱した。機械の眼であるカメラは人間の眼の延長線上にあり、人間の限界を超えて世界の真実を見いだすことができるという意味だ


▼他人と違う世界を見るには色眼鏡が必要となる。例えば全ての出来事を建設の視点で捉えると、今までとは違う世界が見えてくる。社会と建設業は密接不可分の関係である以上、何かしらつながりの糸があるからだ。それが新たな気付きならば価値ある報道になるだろう


▼砂時計は同じ砂が同じ時間を刻むが、同じ内容の時間を決して刻まない。同様に普段の道は同じようで微妙な違いがある。新聞記者は映画眼で見れなくとも、聞屋の眼とでも言うべき視点で物事を見ることができる。これからも少しでも物事に気が付き、見たものをありのまま伝えたい。(埼玉・YM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら