コラム

2019/05/18

成功より優秀さを求める(埼玉・YM)

成功より優秀さを求める


▼高校生の頃「微分や積分を勉強して、何か意味があるんですか」と数学の先生に質問したことがある。すると「先生が今使っているだろ」と返事があった。今思えば「自分が使わないだけで必要ないと思っていた」ことに狭い視野だったなと苦笑いしてしまう


▼高校時代は知識の修得というより、点数が取れる受験テクニックを学んでいたように思う。卒業して時間が経つと、勉強していたはずのことが頭から抜けている場合が多い。英語一つを例えにとっても、中学・高校で勉強したはずが、現在まともに話すことができない人は少なくないように思う。志望校に合格という自分なりの成功を収めても、生活や社会で全く役に立たないのでは、もったいない


▼受験勉強に限らず建築士、医師、社会福祉士など資格が必要な専門職でも同じことが言える。試験に合格しても実際の現場で使えなかったらステップアップは難しい。現場との相性を自己分析することなく試験に合格しても、その後が苦しいだけになってしまう


▼高校時代の部活動の監督は「練習の練習をするな」が口癖だった。練習と違って本番はマニュアル通りには進まない。そのため、機械的な練習ではなく基礎を鍛えて応用力を養うことが大切という主旨だ。急がば回れと言うように、基礎を鍛える時期が遠回りに見えて実は最善の道ということはよくある話だ


▼机上だけの知識は意味をなさない。一方で、実のある知識は自分の人生を助けてくれる。成功を求めても優秀にはなれないかもしれないが、優秀さを求めれば成功は後から付いてくる。求めるべきは優秀さだろう。(埼玉・YM)


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