コラム

2019/05/21

諦めなければ開ける(山梨・OS)

諦めなければ開ける


▼「はいポチッと」。きょうもまたインターネットで買い物をしてしまった。だが今はまだましな方。一時期は毎日のように家に何かしら届き、家族から「買いすぎ。店でも開くつもりか」と怒られた


▼年内に甲府駅前のシンボル的存在だった山交百貨店が閉店することになった。子どものころ山交に連れていってもらえるとなれば大喜びしたもの。広い店内に並ぶたくさんの商品の中から欲しいものを選ぶ。ついでにゲームコーナーで遊んだり外食したり。バスでの移動も楽しみの一つだった


▼最近は郊外に大型のショッピングモールが増えた。地方は自家用車での移動が主流。より規模が大きく魅力的なコンテンツをそろえる店舗へと人が流れていく。加えてネット通販でほとんどのものがそろう。広い店内も「宇宙一の品ぞろえ」をうたう通販サイトにはかなわない


▼駅前が寂しくなる。ぽっかりと空いた大きな建物。それを衰退の象徴にしてはならない。群馬に赴任していたときに高崎市の幹部にまちづくりについて聞いた。その幹部は富岡賢治市長の側近という立場にありながら、必要とあれば自ら地元に出向き交渉する。何度も足を運び「市のために」と頭を下げ結果をつかみ取る。国とも直接交渉し必要な原資を確保する


▼風貌は違うが、その手腕からコンピューター付きブルドーザーと呼ばれた、かの首相のようだ。話からは「信念」「矜持(きょうじ)」といった言葉を連想させる思いがびんびん伝わってきた。その人は言う。「高崎は駅を中心とした開発を諦めなかった」。昨年退任されたと聞いたがその思いは後進へと受け継がれ生かされていくだろう。(山梨・OS)


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