コラム

2019/06/21

ひとごとでは済まされない(群馬・TH)

ひとごとでは済まされない


▼国の中小企業政策の中核的機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構がYouTubeでドラマ仕立ての動画を公開した。タイトルは「【感情崩壊】今日、部下が会社を辞める。」


▼入社3年目で会社を去る若手社員を見送る上司が主人公。動画は若手が最後のあいさつをするシーンで始まる。上司は花束を手渡し、あっという間に過ぎた3年間を思い返す。入社当初は頼りなかった若手も時が経つにつれて成長し、堂々と提案するまでになる。主人公は「私は良い上司だっただろうか」と自問自答。心温まる展開だ


▼感動のまま終わるかと思われたが、次のシーンで一変。会社に残る別の若手社員が「勝手にいい話にするな!次から次に若手が辞めて、いい加減に気付けよ」と怒鳴り上司を突き飛ばす。これをきっかけに社員同士の乱闘に発展。退職する若手も花束を投げ捨て、主人公に強烈なタックルをする


▼書類やパソコンが飛び交う中『中小企業の73・7%が人手不足を感じている』『人手不足を残業などの業務過多で解決する中小企業が60・7%』『中小企業の新入社員の52・4%が3年以内に離職』といった調査結果が映し出される。この動画は中小企業の現状を訴えつつ、ITツールによる解決法を提案するものだった。『社員が崩れると、会社も崩れる』というメッセージが印象に残った


▼建設業界でも若手の離職率の高さが問題となっている。退職にはさまざまな理由があり、一筋縄に解決できないだろう。制度や処遇の改善も重要だが、最も重要なのは人の気持ち。乱闘になる前に、働き手の目線に立った取り組みが必要なのでは。(群馬・TH)


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