コラム

2019/06/27

社会に必要な報道を(茨城・KN)

社会に必要な報道を


▼車の運転が得意ではない。日常的に通勤に使うようになって4年たった今も、やはり苦手意識がある。大きな事故は起こしていないがヒヤリとすることは多く「運が良かったな」と感じる瞬間も少なくない


▼最近、痛ましい交通事故の報道を目にすることが多い。池袋の暴走事故、神戸の市営バスの死傷事故など、複数の被害者が発生するものが目立つ。滋賀県大津市の交差点で車2台が衝突し、2人の園児が死亡した事故もその一つだが、この事故に対する報道内容が世間で物議を醸した


▼事故に遭った園児が通っていた保育園での会見でのことだ。報道陣が泣き崩れる園長に対して立て続けに質問を投げ掛けていた。幼い園児の死にショックを受けている園長に意図が分からない質問を浴びせることに対して違和感や憤りを覚えた人は少なくないのではないかと思う


▼テレビや新聞などの報道機関が社会に果たす役割は大きいが、何をしても良いというものではないだろう。報道機関が競い合うように、どんどん刺激的な場面を求めていくのは、本来の報道の役割から離れてしまうと思う。最低限の良識は必要だ


▼事故の報道であれば凄惨な現場や悲しむ関係者の姿を映すよりも「なぜ起きたのか」や「同じような状況になった際にどのような対策があるのか」といった内容に重点を置いたものが見たい。交通事故は車を運転する全ての人間が起こす可能性がある。新たな悲劇を予防することにもつながるだろう。センセーショナルな内容を声高に吹聴するのではなく、地味でも社会に役立つ内容の発信を期待する。報道する側の1人として肝に銘じたい。(茨城・KN)


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