コラム

2019/07/11

攻めの姿勢を忘れずに(茨城・KN)

攻めの姿勢を忘れずに


▼先日、初めて東京銀座の歌舞伎座を訪れて歌舞伎を鑑賞した。演目は劇作家の三谷幸喜氏による新作歌舞伎「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」。みなもと太郎氏による漫画「風雲児たち」を原作としている。テレビドラマや映画、CMなどで歌舞伎役者の姿を見ない日はほとんどない。しかし肝心の歌舞伎の演目を観るのは、興味はあれども少々敷居が高く感じていた


▼独特のせりふ回しや、世界観をしっかり理解できるだろうか、難しいのではないかという先入観があったが、尻込みしている人生はつまらない。喜劇作家である三谷氏の作品ならば取っ付きやすいのではないかと思い、奮発して1等席を購入し、歌舞伎座へ。楽しめるだろうか、という一抹の不安は杞憂(きゆう)に終わり、4時間という長丁場があっと言う間だった


▼同作は江戸時代の実話がベースで、大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)とその一行がロシアに流れ着き、長い年月をかけて日本へ帰国するという物語。全編現代語で演じられるため分かりにくい箇所はない。舞台はほぼ全編ロシアで、日本のシーンはほとんどない。笑えるせりふも多く、非常に楽しめた


▼歌舞伎は伝統芸能というイメージが強かったが、新しい世界へ意欲的に挑戦していることが分かった。古典の存在を守りながらも現代の娯楽であり続けようという心意気が、新規ファンの開拓にもつながるのだろう


▼若手入職者確保のためPRが課題の建設業界。歌舞伎と一緒にするのは乱暴だが、建設業界も伝統を守りながら攻めた取り組みに挑むことが必要かもしれない、と感じた。そんな取り組みを広報するのは新聞社の役目。攻めの姿勢は、われわれ記者にも必要だ。(茨城・KN)


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