コラム

2019/07/23

忠義を尽くした異国の侍(埼玉・KM)

忠義を尽くした異国の侍


▼その昔、キリスト教の宣教師が織田信長のもとに異国の若い男を連れてきた。聞けば東アフリカ出身の奴隷で怪力の持ち主だという。身の丈182cmを超え、真っ黒な肌に筋骨のたくましい見事な若者であった。信長は初めて見るその肌にひどく驚いたそうだ。すぐには信じられず、墨でも塗っているのだろうと体を洗わせると一層黒光りしたから余計に度肝を抜かれた。若者はその日から信長の側近に取り立てられた


▼名を弥助という、史上稀(まれ)な異国の侍である。近年海外でも知られ、ついにハリウッドで映画化が決まった。演じるのは映画『ブラックパンサー』の主演C・ボーズマンだ。やがて本能寺で討たれる信長の、晩年に仕えた外国人をどう描くのか。上映が楽しみでならない


▼外国人といえば先日、埼玉県建設業協会青年経営者部会の幹部座談会で話題に上った外国人材の話は興味深かった。受け入れに積極的な幹部はイスラム教徒の外国人社員について、仕事と信仰の折り合いをつけられるよう相談し、例えば朝夕の礼拝を一度にまとめるといった取り決めをしたという。合意形成を図り働きやすい環境を整えたことで確かな戦力となっているそうだ


▼異文化で育った外国人材の活用は困難も多いだろう。しかし、彼らの労働力は今後ますます必要になるのではないか。ここは一つ、先進企業にノウハウを学ぶのも良いかもしれない


▼本能寺の変で弥助は、信長の恩に報いるかのごとく最後まで奮闘したと伝わる。織田一族でさえ逃げ出した戦場で、弥助は忠義を貫いた。良い働きを望むなら良い環境を。弥助の話は教訓に満ちている。(埼玉・KM)


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