コラム

2019/07/25

一万回でも百万回でも(茨城・HS)

一万回でも百万回でも


▼ことしの関東甲信地方の梅雨入りは6月7日とほぼ例年並みだった。昨年は記録的な酷暑に見舞われ、現場は熱中症対策に追われた。気象庁の3か月予報によると、7~9月の気温と降水量はほぼ平年並み。建設業界は天候次第で現場作業の可否が求められる。事故を未然に防ぐ意味でもより注意深くならなければいけない季節だ


▼カンボジアのリゾート地、シアヌークビルで建設中のビルが崩壊し、10人以上が死亡する大事故が発生した。海外の通信社によると、そのビルは違法建築であり、8割程度が完成していたものの、現場では50人以上の労働者が寝泊まりしていたという


▼施工を担当していたのは中国系企業。現地にはカジノがあり、かなりの中国資本が進出しているようだ。現場の映像を見ると、すさまじいがれきの山ができており背筋が凍るようだ。手抜き工事と安全対策不備が原因なのは間違いない


▼現場作業員を建設中のビル内で寝泊まりさせていたというのも驚き。日本国内で同じような事故が発生する可能性はまず無いだろう。しかし、手抜き工事をすれば社会的責任を免れないのは変わらない。最近でもハウスメーカーによる施工不良問題が世間を騒がせている


▼労働災害を防止するため、各社は自主的に安全大会を開催して安全への意識を高めている。事故は誰もが望まず、頭では分かっていても完全に防ぐことができないもの。そうはいっても諦めてしまうわけにもいかない。発生率をできるだけゼロに近づけ、万が一起こってしまった場合でも被害を最小限に抑える努力が大切だ。だからこそ、一万回でも百万回でも「ご安全に」と口にしたい。(茨城・HS)


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