コラム

2019/07/27

売れ残りの犬とともに(新潟・SS)

売れ残りの犬とともに


▼20年ぶりに犬を飼い始めて3カ月が経過した。チワワとイタリアングレーハウンドとの雑種で体重は3㎏ほどの小型犬。「レオ」と名付けた。犬を購入しようと、さまざまなペットショップを巡る中、小さくて華奢(きゃしゃ)な犬が子どもたちの目に留まり、どうしてもこの犬がいいということでわが家の一員となった


▼値札を見ると他の犬よりもかなり安い。生後半年以上が過ぎており、既に接種済みのワクチンを考慮するとほとんどお店の利益は無いはず。店員さんによるとお店に来て間もなくストレスからか皮膚疾患を患い、体毛の多くが抜けてしまったとのこと。一番売れる仔犬の時期に店頭に置けず売れ残ってしまったようだ


▼犬を飼い始めて3週間後の新聞に「犬や猫の生体販売をやめた」という新潟市内のペットショップの記事を見つけた。犬を飼おうと巡った店の一つが下した判断だ。飼育放棄や殺処分が社会問題化する現在、販売そのものを見直す必要があるいうことのようだ。収益の柱の一つを失っても、愛護の観点から生体販売をやめるという英断に感銘を受けた


▼レオは半年以上ペットショップのケージの中で外の世界を知らずに育ってしまったせいか、とても臆病である。家の前を車が通るたびに吠え、散歩ですれ違う犬には牙をむいて吠え出す。恐怖心を解いていくには、もう少し時間がかかるかもしれない


▼無駄吠えやトイレなど、しつけに四苦八苦しながらも、楽しい愛犬との生活が始まった。今後はペットショップのケージの中で愛嬌(あいきょう)を振りまく犬や猫の先には犠牲となっている命が有ることを意識しつつ、飼い主としての責任を果たしたい。(新潟・SS)


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