コラム

2019/08/01

子どもたちを守るために(埼玉・SW)

子どもたちを守るために


▼普段、野球を見ない人も高校野球の夏の大会を楽しみにしている人は少なくない。昨年は秋田県立金足農業高校の吉田輝星(よしだこうせい)投手(現・北海道日本ハムファイターズ)が甲子園球場で計881球を熱投、注目を集めた。先日はプロ初勝利を挙げるなど今後の活躍が期待される


▼一方で「881球は投げ過ぎ」という声もある。日本高等学校野球連盟主催の有識者会議が、来年の導入を目標に『大会期間中の球数制限』を発表した


▼智弁和歌山高校の髙島仁前監督は「公立高校の場合、有力投手が1人しかいないと球数に達したら負けということになる」、横浜高校の渡辺元智前監督も「人数不足で新入生の入部を待って試合ができるチームがあり球数制限をすると野球ができなくなる」などの懸念を示す。元巨人の桑田真澄氏は「ルールを設けて投げ過ぎを止めるべき」と主張。ほとんどが高校生以下で、年間800人の野球選手が受診するという慶友整形外科病院の古島弘三医師も「投球数を守る意義がある」と話す


▼アメリカでは年齢ごとに球数や休養期間が定められたガイドライン『ピッチスマート』が導入されている。7歳から年齢ごとに1試合で投げられる球数の上限を決め、連投による疲労を抑えている。大学やプロを目指すクラブチームのコーチは「効果は絶大」とし、ある中学生の選手は「投げ過ぎや故障を避けるために良いと思う」と言う


▼大きなけがはその人の人生をも左右しかねない。一番大事なのは球児の未来。関係者の間でも意見は異なり、なかなか結論が出せそうにはない問題だが、子どもたちを守るためにも決断が待たれる。(埼玉・SW)


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