コラム

2019/08/02

悪税はいらない(茨城・KS)

悪税はいらない


▼高齢者ドライバーによる悲惨な事故が立て続けに起きている昨今。地方では簡単に運転をやめることができない事情がある。一方で若者の車離れも止まらない。東京への一極集中が進んでいることに加え、そもそも車自体に興味がない人が増えていることも要因のようだ


▼そんな中、政府は走行距離に応じて課す「走行税」の導入を検討している。「車が不可欠な地方民のことを考えていない」「休みは車で遠出が楽しみなのに」「田舎のさらなる過疎化につながる」「ガソリンに掛かる税金(揮発油税)が実質的に走行税ではないか」など多くの悲鳴が上がっている


▼かつて車は少年たちの憧れだった。アメリカの高校生が乗った銀色に輝くタイムマシン、私立探偵の相棒となった人工知能を搭載する黒いスポーツカー、イギリスのスパイが華麗に乗りこなす最先端高級車など、映画やテレビでヒーローが乗るそれは強烈な憧れを抱かせた。車は単なる移動手段では済まされないほど奥が深く魅力的なのである


▼特にクラシックカーは美しい。1960~70年代にかけての曲線美には魅入ってしまう。80年代の角張ったフォルムの力強さにもまた見とれる。そんな旧車でドライブを楽しむ人々は決して少なくないが、13年以上前の車への15%重課がのしかかる。良いものを長く大切に使うことは美徳であるはずなのだが


▼車離れ解消、地方創生、美徳にも逆行する走行税などの税金。10月には消費税10%への増税も控えている。なぜ増やすのか、何に使われるのか、ほかに方法はないのか。100%の理解は得られずとも、もっと明確で丁寧な説明が必要だろう。(茨城・KS)


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