コラム

2019/08/09

地域外の人にも情報を(東京・CK)

地域外の人にも情報を


▼鹿児島県へ出張に行った日のことだった。その日は数日前から豪雨災害が懸念されていた。明け方になると災害情報注意報がスマートフォンに届いた


▼内容は避難指示のメールだったが、地元民ではない者にとって地域名や避難場所が全く分からなかった。避難区域を調べるためテレビをつけてみるが、災害を忠告する情報ばかりで詳しい情報は結局分からなかった


▼2011年3月16日の毎日新聞によると、東日本大震災の時に観光や出張で被災地に訪れていた人のうち15日までに約900人の安否が不明だったそうだ。団体旅行などで訪れていた約5000人には連絡が付いたものの、個人で訪れていた旅行客などには連絡が付かない状態だったという。こうして見るだけでも県外からの来訪者に対しては、防災への対処が希薄だったことがうかがえる。現在ではそうした経験から、さまざまな対応策が講じられているようだが、震災被災地以外で教訓は生かされているか


▼豪雨の中、その日は予定通りに仕事を終わらせ宿泊場所に戻ったのだが、避難場所や避難指示地域を把握しないままで一日を過ごした。日常的な災害の備えはできるものの、災害はいつどこで遭遇するか分からず、情報がなければ対処できないと痛感した


▼最近では国内の至る所に、日本人のみならず外国人など多様な人々が訪れている。地域外の人々も地域住民と同様に安全に避難できなければ、被災者を最小限に抑えることは難しいはずだ。20年には東京オリンピックも控えている。地域外の人へ向けた災害情報伝達の対策も早期に考える必要があるのではないだろうか。(東京・CK)


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