コラム

2019/09/13

カメラを持つ意味(群馬・YT)

カメラを持つ意味


▼入社してから今まで、何枚も写真を撮影し新聞掲載してきた。建機試乗して笑顔を見せる子ども、業界の窮状を真剣なまなざしで訴える協会長など文字だけでは分からないその場の空気も伝えることができるカメラは日々の取材活動に欠かせない道具だ。うれしいことに「掲載された写真が欲しい」と言われて提供したこともある。逆に「こんなに悪人面な写真を掲載しないでよ」と冗談めかしながら指摘されたということも


▼百聞は一見に如かずの言葉どおり、写真や動画が文字以上の説得力を持つことは多い。例えば茨城県の常磐道で起きたあおり運転による殴打事件。車に設置されたドライブレコーダーにより撮影された車内の緊迫したようすを各局が放送し、あおり運転の危険性を伝えた


▼その影響を受けてか、ドライブレコーダーの販売数が大幅に増えたという。常磐自動車道での事件以前にもあおり運転による事故・事件はあったが、動画により改めて周知されたということだろう


▼分かりやすさがもたらすのは良い影響だけではない。同じ事件で、容疑者の車に同乗していた女性とされる写真と個人情報がSNSで拡散。その後、無責任な人が勝手な思い込みで、無関係な女性の情報を流したことが分かった。写真の分かりやすさとSNSの手軽さが合わさった事例だろう


▼分かりやすさは詳細が伝わらないという危険性と表裏一体。スマートフォンの普及により、誰もが手軽に写真や動画を撮影し拡散できるようになった今、誰もがカメラマンであり記者と言える。何気なく公開する写真と言葉にどんな影響があるかを考えなければならない。(群馬・YT)


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