コラム

2019/09/26

伝統と進化に見る(山梨・HI)

伝統と進化に見る


▼お盆休みに帰省すると町内会の役員をやっている両親が、落ち着かない様子で雨の動向を気にしていた。「どっか行くの?」と聞くと「盆踊り大会が明日あるの」と不安げだ。「ああ、なんだ」と素っ気なく相づちを打ったが、脳裏にジワジワとよみがえる幼少期の思い出に駆られて行ってみることにした


▼会場では近所の子どもたちが元気に駆け回まわっている。いざ演目が始まり、太鼓や笛の音に合わせて踊っている様は愛くるしいものだ。ふと、その姿を小学生のころと重ね合わせ「変わってないな」と安心した。一方で代々親から子へと受け継がれるこの伝統行事にも変革の兆しが現れている


▼盆踊りとは馴染(なじ)みが薄れていて最近気付いたのだが、今や流れる音楽はJポップや洋楽が多く振り付けはオリジナル。今回久々に踊りたい衝動に駆られた。象徴的な櫓(やぐら)をはじめ、ぱっと見たときの姿形は残しつつ、その内容に新しいものを取り入れる。さながら車のマイナーチェンジのように、試乗してみて体感する面白さがここにはあるのかもしれない


▼甲子園で毎年高校球児が熱い戦いを繰り広げる。暑さ対策や選手の球数問題などは依然顕著で「それらを含めて甲子園なんだ」と、昔から続いてきた考え方を主張する人もいる。今年の大会で決勝前に休養日が設けられたように時代に合わせた変化が時に大切なのかもしれない


▼先日子どもたちにペンキ塗り体験をしてもらう団体の活動を見守った。「難しい」と言いつつもその表情は笑顔に満ちている。小学生の頃にこんな刺激的な体験を味わった記憶はない。「変わったな」と安心する。(山梨・HI)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら