コラム

2019/11/09

大手にない魅力を武器に(埼玉・SW)

大手にない魅力を武器に


▼IT企業に就職し30年近く働いたシステムエンジニアから、ラーメン店の女将(おかみ)となった女性を紹介するテレビ番組を見た。会社が吸収合併され経理の仕事を任されたものの、本意な仕事ではなく退職の道を選んだ


▼夫はかつて、自身がオーナーシェフを務めるイタリアンレストランを開店するが、経営不振のため3年で閉店。「飲食店はそんなに簡単じゃない」と言う夫を説得するためインターネットで調べ、ラーメン店の開業支援サイトに辿(たど)りついた。参加した開業セミナーでは、繁華街ではなく物件の安い住宅街に出店するなど、成功のセオリーを学んだ


▼飲食店なので天候によって客足は変化し、臨機応変な対応が求められる。新たな生活で不安もあろうが「日々の変化に張り合いを感じる」と語る女将。常連からは「お母さんが優しい。店に入りやすい。居心地が良い」との声も聞かれ、地元から愛されているようす


▼接客術はもとより多彩なメニューを用意して大手には出来ない顧客ニーズに応える。麺やトッピングの量まで、客のリクエストに細かく対応することも人気の理由だろう。目標は「年商1200万円」と意気込み、システムエンジニア時代よりも充実した生活を送っているように見えた


▼激戦のラーメン業界において、チェーン店にはない魅力を打ち出すことで常連客の心をつかみ商売繁盛につなげている。どの業界にも通じることだが、顧客に愛されるということは、企業が存続していくための大きなポイントになる。大手がやらない、大手にはできない魅力を持ち、中小企業がそれを武器にすることには大きな意味があるだろう。(埼玉・SW)


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