コラム

2019/11/21

攻めも、守りも(山梨・OS)

攻めも、守りも


▼早いラウンドでの井上尚弥のKO勝ちを予想する声も多かったワ ールド・ボクシング・スーパーシリーズの決勝。12ラウンドの激闘の末、井上がフィリピンのノニト・ドネアを下した試合は見応えがあった


▼両選手ともに攻めも守りも超一流。これまでのキャリアで培った身のこなしで互いに決定打を許さなかった。井上選手の猛攻でKO寸前かという場面でもドネア選手は必殺の左フックを匂(にお)わせ踏み込ませない。ポイントも拮抗(きっこう)しているとみられた中、井上選手が終盤の11ラウンドにダウンを奪い、判定で制した


▼「攻めはいらぬ守りこそ行政の成すべきこと」山梨県甲斐市での地元説明会で反対派の住民はそう言わんばかりだった。美術館を整備し経済効果を生み出そうとする市。誰もが使え、ランニングコストがかからない無難な公園にすべきという反対派。こうした説明会では珍しく賛成派の住民も集まり意見した


▼少子高齢化や人口減少が進めば、将来的に地方の自治体は先細り、財政的な行き詰まりが懸念される。いかに人を呼び込むかは、どこも大きな課題として抱えている。山梨の今はどうなのか。東京の隣接地域にもかかわらず危険度は上位クラス。リニアができる。中部横断道ができる。外国人観光客もうなぎ上り。この時期を好機と捉え人を呼び込まなければ、いつ人を呼び込むのか


▼施設単体の話ではない。市幹部は説明会で「市内への波及効果」を強調した。公園だけをつくれば確かに初期投資は抑えられる。ただ憩いの場だけで永久に豊かな街を続けるのは難しい。さまざまな視点で未来に何を残せるか考えるべきだろう。(山梨・OS)


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