コラム

2019/11/28

地元建設業の底力(埼玉・YM)

地元建設業の底力


▼今秋。超大型台風が東日本を相次いで直撃したことは記憶に新しい。各地に大きな爪痕を残し、被災地ではいまだに復旧作業が続いている。有事の対応が真価を問われる場面になる。建設業界でも地元業者が各地で緊急出動し、連日連夜の復旧活動を行ってきた。改めて地元建設業者の必要性を実感するとともに、一市民として災害から地元を守ってくれた建設業界に感謝したい


▼試験湛水中だった八ッ場ダムが満水になるなど、今まで整備してきた貯留施設がフル稼働。ハード整備の重要性も再認識することができた。今回、河川の堤防決壊などによる浸水・冠水被害を受けた地域もあれば、受けていない地域もあった。本格的な検証が始まりつつあるが、各業界とも今回の教訓をぜひ今後に生かしてほしい


▼埼玉県で復旧作業に当たった建設業者の幹部は「社員の中には被災した者もいる。また、社員の高齢化が進み、災害対応が徐々に難しくなっている」と率直に話した


▼災害の10月が終わり、11月を迎えると、群馬県建設業協会の青柳剛会長が秋の叙勲で旭日中綬章に選ばれた。青柳会長は、地元建設会社が人員や機械を維持する上で最低限必要な工事量である「限界工事量」を2016年から提唱。限界工事量を下回ると、迅速な災害対応などが難しくなると訴えている


▼建設業は街をつくると同時に街を守る使命を持つ。万が一の有事に対応できる底力を蓄えるため、日ごろの準備が欠かせない。人材確保・育成の働き方改革を加速させるべきだ。土木費が年々減る中、限界工事量を確保できなければ、業界ひいては日本全体に未来はない。(埼玉・YM)


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