コラム

2019/11/29

情報の仲介役として(群馬・YY)

情報の仲介役として


▼エンジンをかけてから、カーラジオの選局ボタンを押す。車での移動時の日課となっている。ハンドルを握るドライバーにとって、ラジオは無くてはならない情報ツールである。「国道◯◯号で事故が発生しました」など、リスナーから寄せられたメッセージは運転時の重要な判断材料になる。情報の仲介役を果たすのが、パーソナリティーだ。新聞社で言えば記者であろうか。音声で物事を的確に伝えるパーソナリティーの表現力には感嘆する


▼今、ラジオ業界は転換期を迎えつつある。AM放送のFM波への転換が可能となる見通しが立ったからだ。AM放送は国内において、1925年の放送開始以来、90年以上の歴史を持つ。しかし、広告収入の減少などで、各局共に送信所の維持管理コストが経営の重荷になってきている


▼送信設備が小規模で済むFM放送への移行は、生き残りをかけた業界の求めでもある。すでに補完放送の名目でFMへ参入するAMラジオ局も多く、素地は出来上がりつつあると言える。早ければ2023年にAMの停波へ踏み切る放送局が出てくる見込みだ


▼人口減少による市場縮小、社会情勢や人々の嗜好(しこう)の変化により、AMラジオに関わらず各業界が抱える問題は多い。新聞や雑誌などの紙メディアもインターネットの台頭に対応し、電子媒体との協調を図る。また建設業ではICT施工の導入などで生産性向上に取り組んでいる


▼電子化の流れは時代の趨勢(すうせい)なのかもしれない。しかし、情報の仲介役である記者として、紙メディアの持つ信頼性をさらに高めていかなければ、とラジオを聴きながら襟を正す。(群馬・YY)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら