コラム

2019/12/10

担い手確保に部活動(新潟・HT)

担い手確保に部活動


▼工業高校の生徒を対象にした工事現場見学会で、工業高校へ進学した理由を聞くと「サッカー部に入りたかった」「バスケがしたかった」など部活動を理由に挙げる者が多い。現場で働くOBも同様で、建設業を目指したのは、部活動引退後や卒業後の進路選択の時期だそうだ


▼ラグビーワールドカップの日本対スコットランド戦でトライを決めた稲垣啓太選手は、新潟工業高校土木科の卒業生だ。稲垣選手はラグビーで日本代表まで上り詰めたが、もしかしたら高校で学んだ知識を生かして、どこかの現場で働いていたかもしれない


▼地元の建設会社で働く同級生も甲子園を目指し、当時は強豪だった野球部に入るため工業高校に進学した。甲子園には届かなかったものの、県予選で準優勝の成績を残した。残念ながらその後のドラフト会議でプロから声がかかることも無かった。今では工業高校卒業の経歴を生かして働いている


▼部活動を理由に高校に進学しても、当然ながら全員がスポーツで日本代表やプロになれるわけではない。工業高校に進学すれば、卒業するころには建設業界が選択肢に入るのは自然な流れといえる。少子化により生徒の数も限られており、昔は2クラスあった土木科が、いまでは1クラスに減ったほか、学校、学科の統合、工業高校自体が閉校したケースもある


▼部活動も立派な高校生活の一部であり、中学生の進路選択にスポーツ強豪校というのも動機に挙がる。一見、遠回りに見えるかも知れないが、部活動を強化することも工業系高校への進学者の増加、建設産業の将来の担い手確保につながるのかもしれない。(新潟・HT)


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