コラム

2019/12/13

発展するには暇であれ(埼玉・YM)

発展するには暇であれ


▼先日、中国にある貿易企業の役員と食事をした。文化や価値観などの違いを聞くことができて大変有意義だった。中でも仕事観に関する話にカルチャーショックを受けた。日本では全国を飛び回るような仕事をバリバリこなす社長や管理職が評価されやすい。しかし中国では逆に低評価になるという。一体どういうことだろうか


▼理由は簡単。管理職が現場の最前線で実務をこなさなければならない状況は、社内体制が悪いことを露呈しているからだ。前出役員は「管理職の仕事は会社の顔と社内管理。そして責任を取ること。現場に追われることではない」と強調。また「中国では暇な経営者ほど尊敬される」と笑った


▼上司が実務で忙しくなれば社内管理が二の次になる。すると社内の雰囲気が悪化し、退職者が増え、業務が滞り、より忙しくなる。負の循環を脱出するには部下に仕事を任せるしかない。身軽になった管理職は会社の目標に部下を導く仕事に力を注げる


▼忙しさには物理的なものと精神的なものがある。前者は段取りが悪かったり職務怠慢などが招く仕事の渋滞。後者の方が難関で、多くの仕事を前に心が焦っている状態。焦ると細かいミスが増え、なかなか前進しない。結果、仕事の渋滞が起き「忙しい」と感じてしまう。仕事の前ではワクワクして楽しめる「心の余裕」が求められる


▼忙しさは新たな知識と経験の獲得を難しくする。過去の経験で思考・発信し、経営・管理が膠着(こうちゃく)してしまう。物理的に忙しい人は論外だが、精神的に忙しい人は「自身の心の焦り」と自覚すれば対処できるはず。暇であれ、さすれば道は開かれる。(埼玉・YM)


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