コラム

2019/12/14

安いは良いことか?(新潟・HT)

安いは良いことか?


▼消費税が8%から10%に引き上げられ、これまでよりも買い物に気を使うようになっている。改正に伴う気の使い方は、引き上げ分2%以上になっているような気もする。しかし少しでも安い物を求めるのが消費者心理というもの


▼JA全農新潟が発表した県内産コシヒカリ集荷時に農家へ支払う2019年度の概算金、いわゆる仮渡し金は、魚沼産など一部のブランド米を除いて前年度を上回った。米の価格が上がることは農家にとっては喜ばしいことだが、販売価格に影響するのは消費者として痛い。さらに販売価格の上昇で米の消費が落ちることは農家としても避けなければいけない。しかし価格を下げて儲けが減ることも死活問題である


▼新潟県警察本部は一部工事で、最低制限価格を県の基準よりも低く設定できる制度を導入し、経費を削減した。この取り組みに県議会では業者への適正利益を危惧する一方、財政難の中での予算削減に「傷みを伴わなければならない」と歓迎し、拡大を促す声も


▼安ければ良いというわけでも、儲けが上がれば良いというわけでもなく、需要と供給のバランスが大事である。だが米の話で言えば丹精込めて作ったものは、少しでも高く買ってもらいたいのが農家の本音だ


▼ある業界団体と発注者との意見交換の中で、業界団体側から「良い物を作るためには競争が不可欠だが、良い物とは安い物のことなのか」と価格競争に疑問が投げ掛けられた。米も技術も本来、評価されるべきは価格だけではない。人手不足と担い手の確保が課題となる中で、自分の技術を安売りするような業界は魅力的であるとは言い難い。(新潟・HT)


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