コラム

2019/12/20

計画はまとめたものの(群馬・TH)

計画はまとめたものの


▼公共施設等総合管理計画、下水道施設ストックマネジメント計画、橋梁長寿命化計画…。老朽化する公共インフラの将来を見据えつつ、総合的かつ中長期的に維持していくために、各種計画づくりが行われている。公共施設などのインフラを全て網羅する公共施設等総合管理計画をはじめ、各種インフラ別に数え出すと10種類ぐらいあるだろうか


▼計画をまとめて、改めて認識する老朽化の深刻さ。ある市では15施設ある公民館のうち、4施設が耐用年数を超え、大規模改修または建て替えが必要との結果が出た。公民館に限らず、インフラの老朽化ラッシュが目立つ市町村は少なくない


▼現役の公共施設は30~40年前、同時期に整備されたものが多い。耐震基準を見直した1981年から数えて約40年が経過。改修などの対応が迫られている建築物のうち、旧耐震基準のものは問答無用で対応する必要がある。おろそかにすれば、大地震などの災害発生時に命に関わる事故につながる恐れがあるからだ


▼とはいえ、財源は限られている。学校施設の長寿命化計画について取材した際に、担当者は「老朽化に対応するには予算と時間、人と全てが足りない」と肩を落とす。さらに「各施設の状況を考慮して優先順位を付けたが、子どもたちや保護者、職員のことを考えれば、同時進行したいぐらいだ」と続けた


▼計画づくりで、各インフラの状況を整理し、後の方針を定めるのは重要。しかし、実際は計画通りに進まないことも多い。年々、脅威を増す自然災害に対応するには、無い無い尽くしの現状をうまく乗り切る知恵、そして何より金が必要だ。(群馬・TH)


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