コラム

2020/01/16

食パンから学んだこと(茨城・TT)

食パンから学んだこと


▼高級食パンブームが続いている。大阪に総本店を置く高級「生」食パン専門店が水戸市内にオープンした。独自にブレンドした小麦に、生クリームやバターなど素材に徹底的にこだわり「香ばしく柔らかい耳」をうたうその店は、通勤途中にある。開店以来、雨天だろうが、天気予報で気温の低下を知らせようが、連日早朝から行列を作っている


▼特に食パンには目がなくテレビや雑誌、新聞などでおいしいと聞くと近くであれば出向き、遠方であれば何とか入手方法を探り購入する。味の個性や素材の拘りもそれぞれではあるが、そこからは職人の技術と創意工夫、情熱を感じる。その1斤のパンは、値は張るが確かにおいしく、食べると幸せな気分にしてくれる


▼近年、記録的な豪雨や強風による自然災害が猛威を振るっている。一昨年の西日本豪雨が記憶に新しい中、昨年9月の台風15号、10月の19号とそれに続く豪雨が関東や東北に甚大な被害をもたらした。社会資本整備のストック効果により、ぎりぎり食い止めたケースもあった。が、想定外の豪雨が発生すれば脆弱な国土が浮き彫りになる


▼パン1斤と比較するのは少し乱暴すぎるかもしれないが、良いものをつくるには、それなりに経費が必要になる。後世に残す社会資本整備についても同じことが言えるだろう。


▼災害の復旧は急がなければならないが、現状復旧で良いのか。また現在促進している国土強靱化緊急対策も3カ年でよいのか、国民的な議論が必要だ。安かろう悪かろうでは、国民の安心・安全は守れない。休日に買い求めた食パンを噛みしめながら、そんなことを感じた。(茨城・TT)


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