コラム

2020/02/07

足りてますか心の栄養(埼玉・YM)

足りてますか心の栄養


▼静岡県浜松市の認可保育園で保育士などの職員18人が退職届を一斉に提出したというニュースに目が留まった。どうやら経営者らのパワハラ・セクハラが主な要因のようだ。幼い子どもを預かる場での出来事にとても悲しい気持ちになった。また「保育士たちの心は、すっかり枯れてしまったのでは」と感じた


▼保育士は子どもの世話だけでなく、事務作業も多い。何より見返りのない愛情を注ぐため、心身ともに大変な負荷が掛かる。以前より賃金が改善されているとはいえ人の出入りが激しい職業だ。退職者の仕事は残った人に回ってくる。加えてパワハラなどを受けていたら、精神的に耐えられそうにない


▼他人に愛情を注ぐ福祉職は並大抵の精神力では務まらない。自己犠牲に近いため、愛情を注ぐ側の「愛情」が枯れてしまうからだ。枯れた心は負の雰囲気を周囲にまき散らし、環境を悪化させてしまう


▼対策として米国心理学者アブラハム・マズローが唱えた欲求5段階説がヒントになる。つまり、心が枯れてしまった人には尊敬と承認を持って接し、本人の自尊心を内面から満たしてあげる必要がある。業界に懐疑心を持った人には、帰属意識が高まるよう努めることだ


▼仏国皇帝ナポレオン・ボナパルトは「人は勲章や給金のために命を捨てない。魂を揺さぶる言葉が無くては」と言い残している。生活する上で最低限の経済力はもちろん欠かせない。ただし経済は手段であって目的ではないはず。人生は有限だ。同じ人生なら楽しまなければ損をする。そのためには周囲から尊敬される環境に身を置こう。魂を揺さぶる言葉とともに。(埼玉・YM)


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