コラム

2020/02/21

過去の光を、未来に当てて(埼玉・YM)

過去の光を、未来に当てて


▼居酒屋でオリオンビールを見つけたので、思わず注文した。大学時代の沖縄旅行以来だ。ビールが届き、早速飲んでみると、どこか懐かしさを覚える味だった。むしろ、思い出補正で昔よりおいしく感じる


▼オリオンと言えば冬を代表する星座を思い浮かべる人もいるだろう。そこで夜空を見ると、オリオン座を構成するベテルギウスが薄暗いことに気が付く。業界では「超新星爆発が起きるのでは」などの憶測が錯綜(さくそう)する。学者や天文ファンは地球から642光年離れたベテルギウスに思いをはせる


▼ご存知のように今見える星の光は、過去の光となる。太陽の光でさえ約8分前の光が地球に届いたものだ。ましてベテルギウスとなれば、はるか昔の姿を見ているにすぎず、既に超新星爆発が起きた可能性も考えられる


▼人は思い出や過去の光に浸りやすい。その光が強ければ強いほど、歳を重ねるほど、栄光として執着しがちだ。アップル創業者スティーブ・ジョブズは「過去ばかり振り向いていたのではダメだ。自分がこれまで何をして、これまでに誰だったのかを受け止めた上で、それを捨てればいい」と言った。現在の自分は過去の積み重ね。現在の自分に満足しなければ、過去を捨て、新しい未来を築く必要がある


▼過去の栄光を引きずると、変なプライドが至る所で邪魔をする。失敗を恐れ、腰が重くなり、挑戦ができなくなってしまう。成功体験は自信のよりどころになり得るが、固執し過ぎると失敗体験になってしまう。思い出も浸り過ぎると害になる。過去ではなく未来に生きてこそ価値がある。光を当てるなら、過去ではなく未来に。(埼玉・YM)


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