コラム

2020/02/26

台風直面で見た防災力(山梨・HI)

台風直面で見た防災力


▼昨年の台風19号で路面全体が崩れ落ちた道路の本復旧工事が動き始める。山梨県内でも地域によって影響は全く異なり、被害の多い自治体では復旧費が土木課1年度分の予算に相当するほどになっている


▼取材中、自治体の職員が当時を振り返った。豪雨の通過直後は、土砂崩落や倒木、道路の崩壊で、被害状況の調査は思うようには進まなかったという。自動車が通れない道をバイクで通り、進路を邪魔する枝などをナタで切り裂きながら前に進んだ。住民の安全を思っての行動だった


▼建設会社の助けもあった。道いっぱいに広がった土砂を取り除き、車1台分がなんとか通れるようにしてくれた。これも通過直後の対応である。この思いやりのある対応が巡回パトロールを円滑化させた。両者の助け合いの話を聞いた


▼気象庁の統計によると、昨年の台風上陸数は5件。2000年から13年間は毎年ほぼ2、3件以下で、14年以降は5件前後で推移している。上陸数が増えれば、復旧を終えた直後にまた被害に遭うケースもある。県内でもこれから取りかかる予定の案件に工期が1年かかるものもあり、工期中に台風シーズンを迎えることになる。それを踏まえた工程を考えていかなければいけない


▼排水環境や法面対策が昔よりも進んだとはいえ、山間部の占める面積は広い。一説には地球温暖化が、発生した台風の威力を加速させているとい言われている。しかしハード面の防災対応はスピードに限界がある。限られた予算の中で少しずつ強靱化を図るほかない。個人的には、今回の自治体職員や建設会社の行動こそが真の防災力と感じた。(山梨・HI)


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