コラム

2020/03/24

止まらない違反(埼玉・MK)

止まらない違反


▼自宅の引っ越しに伴い、およそ10年ぶりに自転車を購入した。少し高かったが、長く使えることを期待して国内メーカーのシティサイクルを選んだ。安くはない買い物。だが自転車に乗るということは、フレームやタイヤに命を預けるということでもある。安物買いの銭失いでは済まない可能性も考慮しての判断だった


▼新しい自転車を買えば、むやみに乗り回したくなるのが人間の性(さが)。新居周辺の探索がはかどったのは言うまでもないが、新たな心配も浮上した。交通事故だ


▼通常、見通しの悪い交差点には一時停止の標識が設置してある。もちろん自転車も安全のため一時停止が求められる。残念なのは、自動車でも一時停止のルールを守る気持ちが薄いという点だ。通勤路に一時停止標識を設置した交差点は複数あるが、そこを通る自動車がぴたりと止まる光景をあまり見たことがない。ルールを守らない自動車が多い箇所では、頻繁に警察車両を目にする


▼テレビでは時々、一時停止しない自動車が多い交差点を取り上げ、注意喚起している。視聴する側は傍観者となってしまっていないだろうか。自転車や歩行者の身になって考えてみれば、交差点で突然車が現れたときの恐怖は想像に難くないはず


▼自転車に乗ると、普段は見過ごしていた交差点の風景が少し変わった。多くの自治体は交通安全対策事業費を予算化して、交差点にポールを設置するなどの策を講じている。ハード面の整備はお金を投入すれば済む。一方でソフト面、言い換えれば心の整備はどうだろう。自動車、バイク、自転車に乗る一人一人が考えなければいけない課題だ。(埼玉・MK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら