コラム

2020/04/03

心の中のランドマーク(埼玉・YF)

心の中のランドマーク


▼東京スカイツリーに初めて行った。だが、あいにく天気は荒れ模様。チケット売り場のモニターから望むツリーの景色は薄ぼんやりとしていて、何が何やら分からない。これでは入場料に釣り合わないと踵(きびす)を返した


▼外から見ても曇り空に頭を突っ込んだ、といった風情。タワーとしては世界一の高さを誇るスカイツリーも、これでは形無しだ。時間つぶしに近くのカフェに赴く。スマートフォンで「ポケモンGO」でもやろうかと思案して以来、あの周辺は自分にとって「曇天」といったイメージが定着してしまった


▼タワーといえば、名古屋で育った身としては名古屋駅のツインタワーが思い出される。自宅のマンションから、さほど離れていなかったので、ベランダから見ることができた。休日に暇を持て余した時は、タワーの方向に自転車を走らせれば楽しいお店や遊び場があった


▼都市計画家のケヴィン・リンチは、都市のイメージを構成する5要素を挙げている。通路・境界線・まとまった地域・結節点、そして「ランドマーク」だ。土地の特徴・象徴となる建造物を指すランドマークは、必ずしも高層建築物とは限らない。知る人ぞ知る飲食店や思い出の詰まった学校も人によっては当てはまる


▼こうして見ると何が目印になるのかというのは、ずいぶん主観的なものとなる。極論すれば、人の思い出の数だけランドマークは存在する。それこそ、画面の地図上に映し出されたポケモンを、心のランドマークとしている人もいるかもしれない。そう思いつつゲームをしているが、目当てのポケモンは、まだ見つからない。(埼玉・YF)


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