コラム

2020/04/09

宇宙に思いを募らせて(群馬・YT)

宇宙に思いを募らせて


▼最近、地球に2つ目の月が見つかったとのニュースが話題となった。宇宙を漂っていた小惑星が3年ほど前から地球の重力圏に捕らわれて回っていたとのこと。ただ、悲しいことに4月には地球の重力圏を離れ、再び宇宙へ旅立ってしまう。第二の月は2~3mと非常に規模が小さく、ただ夜空を眺めているだけでは見つけられないのが寂しいところ


▼歴史を振り返ると、紀元前に月の満ち欠けを観察し太陰暦がつくられた。その後も、健全な農業を営むために正しい暦をつくることが求められ続けており、学問の中でもその歴史は長く深いものといえそうだ


▼歴史の長さと深さでいえば土木も負けていない。語源は紀元前2世紀ごろの中国で書かれた「淮南子(えなんじ)」にある築土構木からきたとの説がある。土を盛り、木を構えることで人々を安んじるという意味だ。今の日本では建築分野と分かれているが、この時は建築も含めて土木と言われていたようだ


▼土木を治水という観点からみれば、天文と同じく農業とも深い関係にある。天文で暦をつくり農業の時期を判断し、土木で土地を整えてきた。天文学と土木、いずれも生活に密着したところから始まったということだ。しかし時間が経過した今では、天文学は日々の生活から何光年も離れた宇宙のことを解き明かそうとしている。他方の土木は、はるか昔から人々の生活のためにあり続けてきた


▼これからさらに天文学をはじめ技術が発展すれば、再び天文と土木が重なり、土木の仕事先が宇宙に移ることもあるかもしれない。たまには、そんな未来を夢見ながら夜空を眺めるのもよいのでは。(群馬・YT)


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