コラム

2020/04/16

大宮駅まで、あと1分(埼玉・YM)

大宮駅まで、あと1分


▼休日での出来事。池袋で買い物を済ませ、JR湘南新宿ラインで帰路に就く。途中、赤羽駅で宇都宮線に乗り換えた。車内はそれなりに混雑していた。さいたま新都心駅を過ぎた辺りで、外国人旅行客とみられる家族が、停車駅一覧を不安そうに何回も確認していることに気が付く。たまたま目が合うと、英語で「この電車は成田空港に行きますか?」と質問された


▼一瞬固まってしまった。この電車は栃木県に向かっている。空港がある千葉県とは真逆の方向だ。慌てて「逆方向なので、次の大宮駅で乗り換えてください」と片言の英語で伝える。しかし言葉が伝わっていないことは相手の表情で読み取れた。「まずい。あと1分で大宮駅に着いてしまう」


▼相手も分かりたいけど分からなくて、もどかしそうだ。そこで携帯電話の翻訳機能を思い出した。相手も携帯電話を取り出し、画面を見せ合いながら、おおまかな状況を説明できた。しかし、どの電車に乗ればいいか理解しているか心配だった。最終的に、大宮駅で一緒に降りて案内することで一件落着した


▼言葉も地理も分からない異国の地で、乗り換え電車を間違えることは不安に違いない。今回は、自身のさび付いた英語力に落胆するとともに、最新技術に救われた。多言語対応標識の設置が進んでいるとはいえ、かゆい所に手が届くまでには至っていない


▼増改築を繰り返す駅構内は迷路と言っていい。乱開発による雑居な街並みも同様と言える。日本人ですら迷うため、外国人旅行者ならなおさらだ。計画段階から使い手を意識した設計を、さらに心掛けるべきではないだろうか。(埼玉・YM)


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