コラム

2020/04/17

仕事への使命感とは(山梨・SA)

仕事への使命感とは


▼ことしの始めにモータージャーナリストの今宮純氏が急逝された。モータースポーツが持つ感動や素晴らしさを長年にわたり伝え続けた人のひとり。F1中継では分かりやすい解説と丁寧さが伝わる優しい口調に好感が持てる素敵な方だった。突然のことにとても残念に感じている


▼今宮氏はF1人気が全盛だった1990年代、深夜に民放の地上波で放送されていたF1中継やF1関連の情報番組などに数多く出演。当時はテレビや専門情報雑誌からの情報が主流で、インターネットはもちろん無い時代。独自の分析や解説はとても貴重で、視聴者たちがF1に釘付けになった時代を昨日のように思い出す


▼ことしのF1は現在も世界で猛威を振るうコロナウイルス感染症の影響で開幕戦など数戦の開催が先送りとなった。今宮氏だったらこの状況下におけるシーズンの展望をどのように追いかけて読者やファンたちに情報を伝えただろうか。紙面などを通じて独自の考えを聞いてみたかった


▼今宮氏がかつて寄稿していたスポーツ紙では追悼特集が報じられた。紙面では、ある年のシーズン中に数戦を残してF1チャンピオンが決定した際、同紙の担当者が今宮氏に「残りは消化試合ですね」と言ったところ、今宮氏が「F1に消化試合はない」と言い放ったエピソードが紹介されていた


▼今宮氏には常に気を抜かず、読者に対して真摯(しんし)に情報を伝える必要性があるという強い使命感が備わっていたのだろう。情報を発信する種類は違えども、記者には一番重要で不可欠な部分であろう。今宮氏の教えを胸に秘めながら日々業務に励みたい。(山梨・SA)


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