コラム

2020/04/21

歴史ある建造物の保護(群馬・KS)

歴史ある建造物の保護


▼先日、群馬県富岡市内で改修が進められていた群馬県立世界遺産センターが完成した。世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する4つの資産を紹介する施設となっている。1901年ごろに建築された富岡倉庫1号倉庫に耐震補強などを行い、現代によみがえらせた


▼富岡市といえば、世界遺産の富岡製糸場がある場所として知っている人も多いだろう。市内には富岡製糸場だけでなく、旧韮塚製糸場など多くの歴史的建造物がある。旧韮塚製糸場は、富岡製糸場の建設に尽力した韮塚直二郎が1876年に創業した。富岡製糸場に向かう途中にあることから、市は保存修理を行い、ガイダンス機能やインフォメーション機能を持たせた施設として活用することにした


▼保存活用される施設がある一方で姿を消した建築物もある。最も印象に残っているのが、以前住んでいたアパートの近所にあった旧多野会館だ。藤岡市の中心部に位置するJR八高線群馬藤岡駅から近い場所にあり、多野藤岡農業協同組合の本店として使用されていた。和風の瓦屋根と洋風のレンガ壁がレトロな雰囲気を醸し出す重厚感ある建物だった


▼引っ越しで藤岡市を離れ、しばらくして近くを通りかかった時に旧多野会館の姿はなく、さら地になっていた。いつ解体されたのか気になり、調べると2017年に解体されたということが分かった


▼保存活用するにも耐震補強や改修工事、維持費など多額の費用がかかる。しかし、市のシンボルとなり得る建物であり、見る人を引きつける魅力を持った歴史ある建造物を保護することの大切さを、あらためて問いたい。(群馬・KS)

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