コラム

2020/05/30

あえて言わせてもらう(群馬・TH)

あえて言わせてもらう 


▼「ならぬことはならぬ」。同じ町に住む6~9歳の藩士の子どもたちは10人程度の集まりをつくっていた。この集まりを会津藩では「什(じゅう)」と呼ぶ。什には厳しい掟がある。年長者の言うことに背かない、嘘をつかない、弱い者いじめをしない、卑怯なふるまいをしない…など。什によって細かな違いはあるが、終わりに示された「ならぬことはならぬものです」は共通していた


▼この言葉は、自身を律するためのもの。悪い誘惑に負けない強い心を持つことや、自分勝手な行動をやめ、社会生活のルールを守ることの大切さを表している。やってはならないことはしない。逆に、やるべきことはしっかりとやり抜く。こういった気概の表れでもある


▼現代では法令順守・コンプライアンスと言ったところか。社則や家族間の決め事を守るという部分にも共通してくるだろう。ルールに従うことを前提に私たちの社会は形成されている。しかし、盲目的に従うだけというのも危険だ。ルールに正当性・妥当性があるか、矛盾がないかを考えることも同じぐらい重要だろう。黙って従うだけならば、人間よりも機械の方が優秀だ


▼ルールの範囲内であれば、何をしてもよいという考え方も同様に危険。違法ではないからという大義名分を掲げて無茶をする。インターネットで感染者を叩く者。生活必需品を転売して利益を得る者。かたくなに自粛しない遊技場など


▼自粛要請でルールがあいまいになっている状況下でこそ、一人一人が考え、行動することが最も重要だ。「ならぬもの」がなぜ「ならぬ」のか。自身で考え、それを貫く精神が求められる。(群馬・TH)


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