コラム

2020/06/02

ウチから始まる未知の旅(埼玉・YF)

ウチから始まる未知の旅


▼本との出会いは、しばしば人との出会いに例えられるが、個人的には「旅」のようなものだと思っている。書店に足を運ぶと、そこには多様な世界が広がっている。最近は電子書籍の購入も増えたが、それでも所狭しと並ぶ書棚を巡る楽しみは他に代え難いものがある。時を置いて同じ店に行くのも趣深い。ラインナップがガラッと変わっていて、世の時勢が感じ取れる


▼書店巡りでオススメしたいのが、普段は絶対に読まないようなジャンルの棚に足を運ぶこと。興味がないからといって通り過ぎるのはもったいない。そこはいわば異国の地だ。自分が知らない未知の文化・考え方がそこにはある。例えば女性誌を読めば、女性がなぜあんなに体重を気にしながら、スイーツには目が無いのか、理由が垣間見えたりするのだ


▼最近立ち寄ったオカルト棚は面白かった。手に取ったのは風水の本。風水といえば、やれ玄関のインテリアをこうすれば金運アップだの、生活感あふれる「ライフハック本」が多いが、その本は違った。深遠な中国の思想体系から解説する重厚な教養本だった


▼風水や占いなんてどうせ出まかせ、と考える人は多い。自分もその向きが多分にあるが、読んでいるときは、そういった考えは封印する。全身から著者の思想に染まるくらいがちょうどいい。そのほうがよっぽど、本を楽しめるからだ


▼本を読むことで、その「世界」の文化・考え方の一端に触れられる。己の価値観も広がる。読書とは壮大なスケールをたたえる世界旅行、異文化理解なのだ。ときには家で書を読み、内なる旅に出掛けてみてはいかがだろうか。(埼玉・YF)


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